■マダム・ソランジュ・マジェール(Vol.28)

ざわざわとした入り口の偽物には目もくれずどんどん進んで行くと一軒の小さな宝箱がある。
クリニャンクールの蚤の市は、その昔、たくさんのアンティークの家具や洋服やボタンや生地を売る店で溢れ、丹念に仕事が施され,そして年を重ねていくことである種の怪しささえ醸し出す魅力でいっそう人をひきつけるような物たちが、それぞれの物語を持ってそこにたたずんでいた。
それに魅せられた者たちが狩人のように週末に足を運ぶ場所であった。
もちろん今でもそれは存在しているが、偽者や簡単に作られすぐに捨てられるものがその市の入り口で訪れる者を戸惑わせ、茨となって行く手を阻むそこであきらめず、なお、より奥へと進む者だけが行き着くことのできる場所がある。
その店はそこにある。
50年代の薄いブルーのコットンのシャツやウールのパンツや軍服や肩章のついたジャケット、絹のパラシュートの生地で作られたシャツ、特別の生地と糸とボタンとで作られたものは古びない。
店の女主人はマダム・ソランジュ・マジェール。彼女から醸し出される強さそこから導き出された優しさ。
彼女の目で選び、大切に残されたものを本当に気に入り、そして似合う人のために彼女は店を開き探求者を待つ。
(Aya)
|